春の途端

とりとめもなし、思考や事象や日常について

8/30:空いた首筋に秋が触れる

髪を切る日。最近は短い方が好みで、2か月に1度の感覚で美容院を予約している。行きつけの、懇意にしている美容師さんはいないので、流浪の民のようにあちらこちらへ行っている時期もあったが、今はいいなと思うところを見つけ、半ば通いに変わっている。

静かに過ごしたい、という私の要望に、その美容院はジッと応えてくれる。

会話をするとき、返答を考え過ぎてどうしても詰まってしまうことが自分にとってストレスで、別段ひとと話したくないわけではないのだけれど、時には自らを責める材料にしてしまうから控えたい、と思っている。そこの美容室は小さな箱で、多いときでもお客さんは他に1,2人ほど、白い壁にひとつ、銅板の薔薇(に見える花)が掛かっているのがいい。

私が目を瞑ったり、どこかを見つめている間、耳元で小さい鋏の音がしている。細かく、囁くような鋏捌きにぼうっと耳を傾けている時間が好きで、それのために通っているに近い。

伸びていた後ろ髪がすっきりとして、首筋に空気が当たるようになった。肌に秋の気配が触れるのが分かりやすい。これからこのまま、秋が澄んでいくといい。