春の途端

とりとめもなし、思考や事象や日常について

途端画

数日前から絵を描いている。水彩絵の具、まだ場数が足りず安直に色を乗せているだけだが……筆も太いものがたった1本なので、細いのが欲しいと思った。筆先遣いが中々苦しい。

(構図は好きなツイッターの人の撮られた写真から頂戴し、色は結構好き勝手に。というか、色味を再現することが思っていた以上に難しく、好き勝手せざるを得ない)

 

普段、絵を見ることが好きな立場にいる。月に1度は美術館に出かけてゆかないと、気分が上がらず萎びてしまう。つまりは、日頃から名品を摂取している訳で、だからこそ絵を描くことにも不思議な楽観があったのだよね。まあ、できるだろうというような。全然無理だったけれども……?

筆は簡単に震えるし、色を混ぜても写真と同じぴったりの色にはならないし、風合いはどうにも薄っぺらく感じるし(そも画力が足りないのは勿論)あっという間に、ヒュッと表れたような、生まれたときからその姿といういでたちの美しい作品しか見ていなかったから分かっていなかったが、絵というものは、自らを削って生み出しているのだな、と初めて筆を持って感じた。重ねてきた経験を頼りに行先を図り、舵を切る。完成された作品ばかりを見ているから、これは私にとって新鮮な発見だったと言える。

 

鉛筆や筆を走らせている時間が好きなので、息抜きのつもりで少しずつ画帳のページを埋めていく予定。目に見えるものを描くの、描いていても全く形にならず、やはり難しい。描きながらふと素朴派のことを思い出し、畏敬の念を抱く。