春の途端

とりとめもなし、思考や事象や日常について

遠いところ

知らない町へ行ってきた。

今まで遠いところだと思っていた土地で、今日降り立っていなければきっと今後も行かないはずだったところ。私の生まれた町を中心とするのならば、そこは確かに端かもしれない。

吉田篤弘風に言うのなら、「世界の涯」?

初めてだったけれどすべてが好きだった。道を歩くたびに会うお店、行き交う人は多いけれど皆がしんとして自分の生活に向かっている。慣れ親しんだ空気とはっきり違うものはあるけれど、それがすうっとからだに馴染んでくる感じ。

すぐにここ好きだなと思った。それから、住むならこんな町だな、とも。

 

入ったカフェでは無音にした映画が流れていた。それが偶然観たことのあるものだったので、そして観てからいつの間に数年経つので、展開を思い出しながら紅茶を飲んだ。

終わり方が好きな映画だった。主演ふたりが幸せそうに笑ってエンディングで、私は当時観て最高の気分になった。今時の特典が貰える映画じゃなかったのに公開中に珍しく2回観た。まさか今日、3回目のハッピーエンドを見届けられるなんて思ってなかったな。

 

予定になかったけれど、心惹かれて少し歩く。

観光と言うには観たものは少ないかもしれない。けれど、それ以上に何だか心が洗われたようで、肌が触れ合うようで、やっぱり行き着くところは“好き”だった。旅って、案外こういうところにあるのかもしれないね。